先日、TVニュースで「ディナール通貨詐欺」の話題をやってました。
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某広域消費生活センターの事例
「イラクの通貨、ディナールを持っていないか」とA社から電話があり、その後B社から「手軽にハイリターンが期待できるイラクディナール」などと書かれたダイレクトメールが届いた。
再びA社から「買値の40倍で買い取る」と電話があったので転売しようと思い、B社から25,000ディナール札を1枚10万円で4枚買った。
「買値の40倍の1,600万円を届ける」と言ったA社は「担当者が現金を持ち逃げした」などと言って、結局買い取ってくれなかった。
生活費すべてを使ってしまい、このままでは生活できない。
(80歳代 男性)
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そもそも通貨って。基軸通貨の3条件から軍事力の条件を除いた2条件は最低な満たしていないと通貨とは言えません。その二つは中央銀行が物価の安定に対応した金利や供給量のコントロールをちゃんとしていること。そして、いつでも物やサービスなどの財や他国通貨との交換に使える流動性があるかということ。
私は、イラクのディナール通貨のことは全然しりませんが、少なくともサダム・フセイン時代の方が良かったという国民の声が上がるほど汚職まみれで荒れている国です。
よく、この80歳代の男性は40万円も支払ったものだなと思います。自分で相談しているので認知症ではないのでしょうが、老化による判断力の低下やそもそもの知識不足がどんなに恐ろしいか、びっくりの出来事でした。
世界196カ国の国の数だけ、通貨はあります。もちろん共通通貨もあるので196種類ではありませんが。その国や地域で暮らしている人たちにとってみればその自国通貨でも良いのでしょうが、他国の人にとってみれば必ず交換できるわけではないので警戒すべきです。
戦後78年なので、終戦するまでに大人だった90歳代や100歳くらいの人だったらもっと警戒心が強かったかもしれません。「軍票」というものを知っていたからです。
軍票は軍が占領地での支払いのために発行する紙幣で正式な日本円ではありません。都合が悪くなると支払いをしなくなる単なる約束手形のようなものです。しかし占領軍が発行するので、占領地の民たちは従うしかありませんでした。
江戸時代では各藩が自由に「藩札」を発行していました。藩の領民はそれで経済生活を送るのですが、商都の大阪商人や江戸商人では藩の信用に基づいた藩札など基本的には信用していませんでした。江戸では金が、大阪では銀がベースでした。
ちょうど、80歳代以下の世代は、そもそも他国の通貨って信用できるの?ちゃんと日本円に換金できるの?という基本動作がスッポリ抜け落ちている世代なのかもしれませんね。