1月5日に発表された2023年12月の雇用統計は非農業部門就業者数が前月比21.6万人増で、市場予想の17万人を上回った。失業率は前月と同じ3.7%で完全雇用状態が続いています。
内訳は民間部門が16.4万人増で、教育・ヘルスケアで7.4万人増、接客・レジャーで4万人増でした。
バイデン政権は経済運営の成果をアピールしていますが、私は懐疑的です。
そもそも数年前から大退職時代には入っていたので労働参加率が極めて低いという発射台だからです。
2021年に、パンデミックをきっかけに従業員が大量流出、4780万人が辞表を提出しました。米国の労働者は2億6千万人ほどなのでワークライフバランスを考慮し始めたことが特徴でした。もちろん、低賃金やキャリアアップ欠如の理由もあります。私は自分の会社で米国に消費財も輸出していますが、たしかに自宅で料理を楽しむ動画や自分の抹茶ブランドを立ち上げてAmazonで販売する起業家やUberでドライバーを始める人たちが、すごく増えたという実感をもっています。
その後、退職の波は2022年も続き、5,000万人以上の労働者が辞表を提出し記録を更新しています。
その後、大退職のピークは沈静化し、労働参加率は回復傾向にありますが、まだ低迷しています。
労働参加率の数字で言えば、
パンデミック直前のピーク:63.4%(2020年5月)
パンデミック後のボトム:60.2%(2020年7月)
パンデミック後のピーク:62.8%(2023年11月)
直近:62.5%(2023年12月)
1%の違いは260万人くらいになります。
副業や起業をしていた人たちが、うまく行かないからやっぱり勤め人に戻ろうと考えている人もいるかもしれませんね。
仮に、労働参加率がパンデミック直前水準まで1年間で回復するなら、毎月20万人の新規雇用増になります。
ただ、この雇用増は決してバイデン政権の経済運営とは無関係です。